研究概要 |
WKYラットを対象に、精巣挙筋の径約100μm、長さ約2mmの細動脈を無傷で取り出し、この細動脈両端よりガラスピペットを挿入固定、Krebs液にて持続的に灌流される漕内に懸下、倒立顕微鏡からCCDカメラを経たテレビモニター上の血管径を経時的に測定した。 【検討1】α2-アドレナリン受容体(α2-AR)刺激薬(UK-14,304:100pM〜10μM)とATP感受性カリウムチャンネル(K_<ATP>)拮抗薬(glibenclamide:100pM〜10μM)の濃度反応曲線を抑制性GTP結合(Gi)蛋白質(百日咳毒素;PTX:100nM)投与前後で比較検討した。PTX投与前UK-14,304とglibenclamideは、共に細動脈を濃度依存液に収縮させた。PTX投与後UK-14,304による収縮は有意に抑制されたが、glibenclamideによる収縮は抑制されなかった。故に、α2-ARを介する細動脈収縮において受容体とK_<ATP>の間にはGi蛋白質が関与していると考えられた。 【検討2】glibenclamide(10nM〜10μM)の濃度反応曲線を1)無処置、2)UK-14,304(1μM)を投与し続け細動脈収縮を惹起しつつニトロプルッシドにて細動脈径のみUK-14,304投与前に戻した状態、3)UK-14,304(1μM)を投与し続け細動脈収縮を惹起しつつKrebs液をアシドーシス(pH=7.0)にして細動脈径のみUK-14,304投与前に戻した状態の三条件で比較した。glibenclamideにより1)では濃度依存的に細動脈は収縮したが、2)では1)に比し有意に収縮が抑制され、3)では1)と同様に細動脈は収縮した。これらの結果より、アシドーシスはK_<ATP>を開口することによりα2-ARによる細動脈収縮を抑制すると考えられた。
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