研究課題/領域番号 |
08670850
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
松原 洋一 東北大学, 医学部, 助教授 (00209602)
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研究分担者 |
呉 繁夫 東北大学, 医学部, 助手 (10205221)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 先天性代謝異常症 / フェニルケトン尿症 / 遺伝子治療 / 組み換えアデノウイルス |
研究概要 |
フェニルケトン尿症は、知能障害や色素欠乏症状をきたすアミノ酸代謝異常症の代表的疾患である。今回私たちは、本症に対する遺伝子治療法を確立することを目的として、新たに組み換えアデノウイルスベクターを作成し、フェニルケトン尿症モデルマウスに対する遺伝子導入を試みた。まず組み換えウイルスを尾静脈経由でマウスに投与したところ、外来遺伝子発現の90%以上は肝組織で認められた。このことから、肝臓への遺伝子導入には門脈などの侵襲の大きいルートを用いる必要はなく、末梢静脈からの投与で十分であることが判明した。このウイルス3.6x10^8〜2.4x10^9p.f.uを尾静脈から投与した場合、24時間後には、遺伝子導入前には30mg/dl以上の高値を示していた血清フェニルアラニン値が正常域にまで低下し、その効果は約10日間持続した。さらに、投与14日頃より、マウス体毛の灰白色から黒色への変化が認められ、野生型マウスと区別できない体毛色となった。組織学的にも、メラニン顆粒の増加が確認された。これらの変化は、血清フェニルアラニン値の上昇後、数週間経つと消失した。このことは、一過性ではあるものの、遺伝子治療によって、生化学的指標のみならず、個体の臨床的な表現型の改善が可能であることを実証したという点で意義深いと考えられる。今回の研究で得られた結果は、フェニルケトン尿症の遺伝子治療にみならず、他の肝臓内酵素欠損症に対しても有用であると考えられる。
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