研究概要 |
IL-12による新生児期のCD4陽性T細胞の免疫グロブリン産生補助能の誘導機序を研究した。臍帯血CD4陽性T細胞は殆どCD45RO陰性のいわゆるナイーブ型で、抗原刺激によるIL-4,IL-10,IFN-γなどのサイトカイン産生は著明に低下していた.また新生児T細胞は成人B細胞との混合培養ではlgGやlgA産生補助能は極めて低下していた.T細胞の抗原特異的な活性化には、Costimulatory分子を介するシグナルが必要不可欠であり、とくにCD28/CTLA4-CD80/CD86,CD40リガンド(L)-CD40がT細胞とB細胞間相互作用で重要である.新生児T細胞のCD40LはPHA,PWM,PMAとcalciumionophoaなどの刺激後も全く誘導されず,ヘルパー能低下の一因と考えられた.一方、IL-12は、CD4陽性T細胞をTh1型に誘導しIFN-γ産生能を高めるサイトカインであると理解されている.IL-12単独ではB細胞のIg産生は誘導できなかったが、ヘルパー能がなくサップレッサー能が亢進しているとされる新生児CD4陽性T細胞と成人B細胞の混合培養系で、PWM刺激でヘルパー能を示した.PWM刺激培養後の成人B細胞のCD80抗原発現はIl-12やIL-4による増強はみられず、さらに新生児CD4陽性T細胞はPWM刺激によりCD45RO抗原を発現するようになるが、IL-12存在下においてもCD40Lの誘導は全くなく、CD28抗原の有意な増強も観察されなかった.したがって、IL-12によるヘルパー能誘導の機序におけるCD80-CD28やCD40-CD40Lを介するCostimulatory分子の関与を明らかにすることはできなかった。今後他のCostimulatory分子の関与を検討する必要がある.
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