研究課題/領域番号 |
08670872
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
柘植 郁哉 (拓植 郁哉) 名古屋大学, 医学部, 助手 (00231431)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 抗体産生不全 / 重症複合免疫不全症 / 骨髄移植 / 抗体産生不全症 |
研究概要 |
当科では重症複合免疫不全症(SCID)の根治療法としてHLA近似骨髄移植を行い長期生存9例を得ているが、内2例は細胞性免疫能に異常なくB細胞も存在するのにも関わらず抗体産生が回復していない。通常の骨髄移植では、施行に先立ち患者血液細胞を除去するが、我々はSCIDの骨髄移植ではこの前処置を行わずに骨髄移植を施行しており、移植前よりB細胞の存在する伴性遺伝型SCID(XSCID=γc鎖異常)では長期にわたりドナー由来T細胞と患者由来B細胞のキメラ状態にあると思われる。この場合でもHLA遺伝型一致の移植であるならば、抗体産生は正常に回復しうるから、XSCID患者の骨髄移植後の抗体産生障害はB細胞に内因する異常によるというより、微小なHLAの不一致を介するT細胞との協調の異常と考えられる。本研究では骨髄移植後の抗体産生障害の分子機構を明らかにして、原発性の抗体産生不全症の病態解明のためのモデルとする目的で、骨髄移植後のキメラ状態、in vitro抗体産生能を検討した。その結果、XSCID骨髄移植後には長期にわたり患者由来B細胞が残存するが、HLA一致の場合には正常な抗体産生が認められること、XSCIDでのγc鎖変異の程度は抗体産生不全に関与しないこと、患者B細胞はin vivoで抑制性のシグナルを受け外来刺激に反応し得ない状態におかれていると推測されることが明らかになった。今後こうした抑制の機構を解明するとともに、抗体産生不全症のより良い診断・治療法の開発を目指して病態解明の努力を続ける所存である。
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