研究概要 |
抹消血単核球とTリンパ球を麻疹ウイルスに感染させPHA又はPMA+ionomycinで刺激培養後に、DNAの取り込み、細胞周期解析、アポトーシスについて検討した。麻疹感染細胞は非感染細胞に比較してPHA又はPMA+ionomycinどちらの刺激に対してもDNAの取り込みが低下し、細胞周期解析ではS期が減少していた。麻疹感染細胞はPHA刺激ではアポトーシスが誘導されなかったのに対しPMA+ionomycinの刺激ではアポトーシスが誘導された。麻疹ウイルスによりマイトゲンに対する反応性が低下しているがPHAの場合はアポトーシスがその原因ではなく細胞周期でG0G1期で停止しS期に移行しない機序が存在することPMA+ionomycinの場合はアポトーシスが誘導されることが原因であることが示唆された。 また麻疹ウイルスによる細胞内のサイトカイン産生の変化を検討する目的で麻疹ウイルス感染細胞と非感染細胞をmonensin存在下でPMA+ionomycinで刺激後に細胞内のinterleukin-2(IL-2),interferon γ(IFN-γ),IL-4をフローサイトメトリーで測定した。麻疹ウイルス感染細胞では有意に細胞内のIL-2,IFN-γが上昇していたがIL-4は麻疹ウイルス感染、非感染細胞ともに感度以下であった。以上のことから麻疹ウイルス感染細胞ではtype Iのサイトカインが上昇することが考えられ麻疹ウイルス感染に伴う免疫機能異常との関連性が示唆された。
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