研究課題/領域番号 |
08670879
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
大野 雅樹 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (50194254)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1997年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 低酸素性虚血性脳障害 / 新生児 / TrkB / 脳由来神経栄養因子 / NT4 / 5 / 神経細胞 / 新生仔 / BDNF / 神経栄養因子 |
研究概要 |
これまでにわれわれは、低酸素性虚血性障害(HI)を受けた脳における神経栄養因子の発現を検討してきた。最終的な目標は神経栄養因子による障害の治療、予防である。脳由来神経栄養因子(BDNF)は、in vitroにおいて神経細胞の突起伸長などの神経栄養作用を有することが報告されている。今回われわれは、BDNFの受容体であるTrkB蛋白の発現を、正常発達脳と障害脳について免疫組織化学を用いて検討した。その結果、ラットの大脳皮質におけるTrkB蛋白陽性細胞は古皮質から見られ始め、発達に伴い大脳全体に出現した。従って、TrkB蛋白は遊走を終えある程度の発達段階に達した神経細胞に発現すると考えられた。また、生後早期では突起が強く染色されたことが特徴であった。これは、BDNFやNT3/4が突起上に発現したTrkB受容体に結合することにより、神経細胞発達に何らかの関わりを持つ可能性を示唆する。また、障害側の梗塞部位の近傍には、多数の突起を有したTrkB陽性細胞が出現していた。このことより、HIの障害を受けた後生き残ろうとする神経細胞は、細胞体だけでなく神経突起のTrkB受容体を強く発現し、BDNFなどと結合しその神経保護作用を受けようとしていると推察された。さらに、梗塞巣周囲のみならず非結紮側大脳皮質のTrkB陽性細胞が増加していたことは、低酸素のみ(非結紮側)のストレスを受けた細胞においてもTrkB蛋白が新たに発現誘導されることを示す結果であると考えられた。これらのことから、BNDFあるいはNT4/5は未熟な脳においても広範囲の神経細胞に作用しその神経細胞保護作用を発揮することを示唆するものと考えられた。今後は、生体内においてこれらの神経栄養因子が、実際に作用するのかまた作用するならばどの様な機序で働くのかを検討し、臨床への応用を検討する必要がある。
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