研究概要 |
活性酸素産生系は膜成分であるgp91-phoxとp22-phox及び細胞質成分であるp47-phoxとp67-phoxから構成され、いづれの成分の異常によっても活性酸素の産生不全をきたし慢性肉芽腫症(CGD)を発症する。私共は最近、他のすべての活性酸素産性白血球(Bリンパ球、単球、好中球)ではその発現が欠失し活性酸素を産生できないにもかかわらず好酸球のみは正常レベルにpg91-phoxを発現し、かつ正常に活性酸素を産生しえるといったこれまでにない新しい病態を発見し、新奇な細胞種モザイク型バリアントCGDとして報告した(Kuribayashi et al,B.B.R.C.209,146,'95)。その患者のCYBBでは,-53にC→T置換が再現性よく確認できた.HELでのルシフェラーゼをリポーターとするトランスフェクションアッセイから,この変異がプロモーター活性を著しく低下させることが明かとなった.この部位には,抹消血の好中球・単球ではHAF-1は結合せず,他の未知の物質が結合した.この結合蛋白質は,PU.1結合エレメントや抗PU.1抗体で阻害されることから,Ets familyに属するPU.1であることが確認された.それ以外の蛋白質は今のところ見つかっていない.HAF-1の結合は,gp91-phox発現が低いか全く無いリンパ球系でのみ認められ,これはPU.1とは逆に転写抑制因子であろう. 他のCGD患者の検索を進めているが,まだCYBBのプロモーター異常を認める患者は発見されていないが,この部位を含め約25kbの欠損を示した患者が見つかった.そのブレークポイントにL1配列が見つかり,CGD発症におけるL1の意義と遺伝子欠損の新たな機構への示唆を得つつある。
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