研究概要 |
1,当施設で経過観察しているヒスチジン血症児50人の末梢血から白血球を分離しDNAを抽出し、ヒスチダーゼ遺伝子のうちエクソンをそのイントロンとの境界部を含めてpolymerase chain reaction(PCR)法で増幅した。ヒスチダーゼ遺伝子にはエクソンが21個存在するが、一部のエクソンは70bp以下でかつ隣接するイントロンの大きさも小さいので、2個以上のエクソンを一度にPCRで増幅することが可能であった。 2,PCR産物をmutation detection enhancement gel(MDE)法で電気泳動した後、臭化エチジウムで染色し紫外線ランプ下で観察し、バンドの数により変異の有無をスクリーニングした。エクソン6と7を含む領域400bpでは50人中5人でheteroduplexと判断できるバンドが生じたが、この領域は健常コントロールでもheteroduplexとなる例があった。したがって現在核酸塩基配列で確認中であるが、この部分はポリモルフィズムの可能性が高いと思われる。 他には、エクソン9を含む領域とエクソン12を含む領域においてヒスチジン血症児のDNAでheteroduplex構造をとっていると思われた。現在、それらの部位の核酸塩基配列を蛍光検出器を利用する自動シークエンサーで決定中である。また、変異が同定されれば正常人50人のDNAからも該当するDNA断片をPCR法で増幅し、allele specific oligonucleotide hybridization法で正常にはそれらの変異がないことを確認していく予定である。
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