研究概要 |
平成5年度の同一課題による研究では未熟児・新生児および周産期におけるプロラクチン(PRL)の動態を検討した。平成8年度の研究では更に症例数を増やし小児の各種疾患におけるプロラクチンの動態を検討した。主に(1)子宮内成熟度(small-for-date,appropriate-for-date,large-for-date)との関係、(2)小児中枢神経疾患(頭蓋内出血、化膿性髄膜炎、熱性けいれん、点頭てんかん、てんかん、周期性ADH-ACTH症候群等)における動態を検討した。 在胎28週以降37週以前の未熟児では、血中PRL濃度は胎児週数と共に増加し、在胎37週以降の成熟児で最も高値となった。しかし子宮内成熟度(SFD,AFD,LFD)には有意差無く、PRLの成長因子としての役割は確認できなかった。成熟児仮死では有意に高値遷廷に示したが。未熟児仮死では有意差無く、未熟児ではprolactin inhibiting factorによる抑制的支配がまだ未発達段階で視床下部-下垂体系への影響も少なくないためと考えられた。未熟児・新生児の中枢神経疾患(頭蓋内出血、新生児化膿性髄膜炎等)では重症な症例でやや高値をとったが、低い症例もみられた。小児の痙攣性疾患では発作時に有意に上昇していたが、発作間歇時はコントロールの良い群も悪い群も正常化していた。TRH治療症例ではPRLの軽度上昇がみられた。著明な電解質異常を伴う周期性ADH-ACTH放出症候群ではPRLの上昇はみられなかった。
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