研究概要 |
1,新生児持続性肺高血圧症モデルの作製 出生直後の新生仔ブタに対し,内頚静脈よりアプローチしたカテーテルによって持続的に肺血圧をモニターしながら,FiO2 15%未満の低酸素人工呼吸管理を行いて肺血管抵抗を上昇させた.低酸素かつ高二酸化炭素の条件下で新生仔ブタの肺動脈圧は出生後48時間以内では大動脈圧とほぼ等圧であり,動脈管レベルでの右左短絡が存在することが証明された.しかしながらこのような反応は48時間以降ではしだいに体血圧の低下をまねき,7日間以上生存し得た例はなかった.一方出生直前の妊娠羊に対し強力な動脈管収縮剤であるインドメサシンを投与することによって作成することを試みた新生児期肺高血圧症モデルでは,肺体血圧比が0.6以上の例はなく通常の投与量では肺高血圧をきたすほどの作用がないことが解った. 2,肺高血圧症における一酸化窒素吸入に対する肺動脈反応の検討 先天性心疾患に合併する肺高血圧症患者に対し5〜10ppmの一酸化窒素を吸入させ,肺血管抵抗値の変化を評価した.同時に高濃度酸素による肺血管抵抗値の変化も測定し,一酸化窒素による効果と比較検討した.さらに肺高血圧症の程度によって,一酸化窒素による肺血管抵抗値への影響の違いを比較した.その結果,肺高血圧の程度の強い例ほど一酸化窒素の吸入による肺血管抵抗値の減少が大きいこと,しかしながら肺血管抵抗値が15単位を越える例では,逆に一酸化窒素の反応が低下し,末梢肺動脈の血管内皮機能異常が存在することが明かとなった.
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