研究概要 |
発作性のヒョレア,アテトーシスを伴うParoxysmal Kinesigenic Choreoathetosis(以下PKCと略す)は突然の運動で誘発されるdystonia,chorea,athetosisなどの不随意運動発作を特徴とする常染色体優性遺伝疾患である。本症の責任遺伝子を同定する目的で日本におけるPKCの実態調査と日本人家系においても遺伝子座位がchromosome 16pに同定されているか否かを確認した。全国の大学病院小児科,関連病院,計229箇所にアンケート調査を配布し(回収率78%),37人の家族例,64人の孤発例を含む101症例の報告があった。発症の平均年齢は8.9歳,101人中81人が男性で男女比に有意差を認めた。家族発症の56%は完全浸透で,22%は不完全浸透,残り22%は同胞のみの発症であった。日本人PKCの家系解析および臨床検討に関する論文は投稿中である。 21人の患者を含む3世代,3家系および2世代1家系において,chromosome 16pに存在するD16S420,D16S3133,D16S3093,D16S411のmicrosatellite markerを用いてchromosome 16pに遺伝子座位が連鎖しているか検討した。二点連鎖解析の結果,日本人PKCではD16S3093で最大LODscore2.408148が得られ,chromosome 16pにlinkしている可能性が強く示唆された。今後,この近傍にあるβ-2タイプのプロテインキナーゼCやNaチャンネルなどのion-channelを候補遺伝子としてSSCP(single strand conformation polymorphism)を利用してスクリーニングしていく予定である。
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