研究概要 |
細胞内では紫外線,放射線,薬剤等によりO2-が生じsuperoxide dismutaseによりH2O2に変換される.これまで表皮角化細胞のH2O2を直接測定し,UV照射が細胞内H2O2を容量依存性に増加させることを報告した.また,TPAによる角化細胞のH2O2産生が報告され,著者が研究してきたprotein kinase C活性化,細胞内遊離カルシウム濃度上昇刺激は,活性酸素産生を伴うと考えられる.紫外線により表皮で産生され,免疫抑制作用を有するCis-urocanic acidは角化細胞ヒスタミン受容体の反応性を抑制することを報告したが,細胞内遊離カルシウム上昇を調節するヒト角化細胞ヒスタミン受容体をagonist,antagonistを用いて検討し,H2受容体が関わっていることを見い出した.さらにサイトカインとその受容体の角化細胞での局在,遊離調節機構を検討した.角化細胞はstem cell factor(SCF)を生成遊離して肥満細胞やメラノサイトの増殖や機能を調節する.抗体で二重染色するとSCFの受容体Kitは角化細胞に発現しておらず,遊離されたSCFは続いての遊離を直接調節しないと考えられる.角化細胞からのSCFのmRNA,蛋白の生成はグルココルチコイド,ヒスタミンにより抑制される.さらにIL-18について検討した.IL-18はinterferon-g誘導因子である.乾癬にはInterferon-gを産生するTh1リンパ球が炎症反応に携わっており,IL-18の角化細胞における解析は乾癬の研究に重要である.IL-18とIL18受容体のヒト培養角化細胞、皮膚における発現を免疫組織化学,immunoblot法により確認した.
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