研究概要 |
γδT細胞として正常マウスから得られたDETC,ζ鎖ノックアウトマウス由来DETC,Fcγ鎖ノックアウトマウス由来DETCを用いて、そのT細胞レセプター(TCR)表現,活性化機序を検討した。 TCRの表現をFACSで解析したところ、それぞれのDETCはすべて十分量発現しており差異は全く認められなかった。つまりTCRはζ鎖、Fcγ鎖に関しては、どちらか一方存在すれば正常に発現しうることが示された。 次にConA+IL-2,及び固相化抗CD3抗体+IL-2もしくは固相化CD28抗体による活性化を増殖反応により検討した。いずれの方法においてもT細胞増殖反応は有意に認められたが反応自体が弱く、ここでも差異は認められなかった。DETCはそのシグナル伝達分子としてζ鎖、Fcγ鎖双方を使いわけることができ、どちらか一方有していればその機能において差が認められないことが明らかとなった。 次にDETCのcell lineである7-17を用いて以下の解析を行った。7-17は抗CD3抗体で免疫沈降すると、CD3γ,δ,εの他に大量のFcγ鎖と少量のζ鎖を有することが確認できた。従って本細胞においてはFcγ鎖がより重要と考えられる。正常マクロファージ(Mφ),担癌Mφを用いて共培養実験を行ったところ7-17のFcγ鎖は変化しなかった。DETCに関しては、通常のαβT細胞と異なり、MφによるTCRのdown regulationには抵抗性であることが明らかとなった。また種々のサイトカイン、IL-1α,β,IL-2,3,4,5,6,7,8,10,12,GM-CSF,TNF-αをこの培養系に加えてみたが有意な変化は認められなかった。DETCのTCRは、通常のαβT細胞と異なるメカニズムでregulationを受けているものと思われる。
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