研究概要 |
正常ヒト毛包の外毛根鞘の非活性型メラノサイト(ORS-MC)はpre-melanosome関連抗原を有するがmelanosome関連抗原やmelanin合成酵素であるtyrosinase,TRP-1,TRP-2を欠くことを示した(J.Invest.Dermatol,106:28,1996)。また本細胞は培養できることを報告した(J.Derm.Sci,12:204,1996)。またcalcium濃度変化を利用したmelanocyteの新培養法について報告した(Pigment Cell Res.9:58,1996)。毛の器官培養により、OPS-MCの活性化が起こりtyrosinase mRNAの発現が起こることを見い出した(Pigment Cell Res,10:429,1997)。ET-1によるメラノサイト遊走刺激は三量体G蛋白質およびPLA2を経て行われており、bFGFおよびLTC4ではtyrosine kinase およびPLA2を経て伝達されていることを示した(J Invest Dermatol,108:573,1997)。Ras遺伝子導入マウスメラノサイトでは新株に比して遊走能が亢進することを見い出した(J Dermatol Sci 15:128,1997)。Ras遺伝子導入メラノーマ細胞においても遊走能が亢進し、PLA2の活性化が見られることを示した(J Invest Dermatol,109:407,1997)。Melanomaやmelanocyteの表皮内での重要な接着分子の一つであるE-cadherinの表現について検討し、melanoma progressionやUVB照射後E-cadherinは減少することを報告した(J Invest Dermatol.106:1320,1996)。Melanoma細胞がPKCαまたはβを欠いておりTPAにより増殖抑制が起こることを示した(J Cell Physiol,167:406,1996)。またこれらの基礎研究をふまえてpiebaldism(皮膚38:342,1996)および尋常性白斑(Proceeding of The 10th Japanese-Korea Joint Meeting of Dermatology,Hakone,pp64,1997)の表皮移植後の色素拡大現象について報告した。これらのことよりORS-MCの活性化を誘導することは可能であり、ORS-MCの活性化および遊走についての機序を解明することにより白斑や白毛の治療法の改善をはかることができると考えた。
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