1)消炎外用剤の色素沈着抑制 被験者背部に最小紅斑量の2倍のUVBを照射、照射前12時間から照射後48時間後まで種々の時期にプロピオン酸クロベタゾールを塗布、1週後の被験部位の色素沈着をビデオマイクロスコープで取り込み、画像処理法により、その程度を定量した。その結果、照射直後に塗布した部位での色素沈着抑制が最大で、基剤外用部位(対照)の色素沈着を平均55%抑制した。照射後の塗布時刻が遅いほど色素沈着抑制効果は減少したが、48時間後でも平均25%の抑制がみられた。また血管収縮効果の経時変化も測定し、これから推定した同外用剤の経皮吸収過程と考えあわせると、ステロイド外用剤の紫外線照射後の色素沈着抑制効果の主な作用機序は照射後の炎症過程の早い時期に放出されるサイトカインの生成または分泌抑制にあるのでないかと結論した(日本皮膚科学会雑誌投稿中)。 2)皮膚色シミュレーター 種々の濃度のメラニン溶液と血色素溶液、手術時に採取した表皮、真皮試料の光学的パラメーター値を計測し、多層皮膚理論モデルの方程式に代入し、色素濃度やその存在する深さを任意に設定したときに予想される皮膚の反射率を赤・緑・青の3バンドで算出するアルゴリズムを開発した。これをもとに、皮膚病変の色や光学的性格をマッキントッシュコンピューター上で手軽に操作でき、シミュレートできるソフトウエアを作成した。論文を発表した雑誌上で希望者を募り、無料配布する予定である。
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