研究概要 |
1.HPVの型特異的細胞変性効果に関する一連の研究において、HPV 65 family(HPV4,60,65)が特異的細胞質内封入体という病理組織学的特徴のみならず黒色調を呈するという特異な臨床像とも相関することを明らかにしてきたが、本年度の研究において、この現症がメラニン合成の増強によることを組織化学的および電子顕微鏡的検討により明らかにし、メラニン合成異常がHPVの型特異的に起こる可能性を初めて提唱した。このことは皮膚のメラニン異常一般を研究するモデルとなる(Br J Dermatol,1998,Match,inpress)。次年度は,このHPV型特異的に引き起こされるメラニン異常について、メラニンあるいは色素細胞に対する各種抗体を用いた免疫組織学的検討、関連遺伝子発現の面からの検討を行う。 2.現在まで、HPV60が足底表皮様嚢腫に検出される唯一のHPV型であり、したがって嚢腫形成に関与する唯一のHPV型と考えられて来たが、本年度の研究において病理組織所見の異なる(従って異なる細胞変性効果の)嚢腫からHPV57を初めて検出した(Br J Dermatol,1998,March,inpress)。現在、多数例につきHPV57と嚢腫の関連性につき検討を進めている。 3.我々はHPV関連表皮様嚢腫発症におけるエックリン汗管の関与の可能性を提唱してきたが、コンピューターを用いた3次元再構築法を用いた検討によりその存在を証明することに成功した(国際研究皮膚科学会,1998,May,ケルンにて発表予定)。
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