研究課題/領域番号 |
08670989
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
皮膚科学
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
河 陽子 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (10082273)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
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キーワード | メラノサイト / 発生 / 神経冠細胞 / SCF / c-KIT / ET-3 / SI突然変異体 / DOPA / Sl突然変異体 / stem cell factor / neural crest / melanogenesis / mlanocyte differentiation / tyrosinase / TRP1 / TRP2 |
研究概要 |
発生の過程でメラノサイトが神経管から皮膚へと遊走する時期に一致して、その前駆細胞はSCFを必須とすることが知られている。われわれもマウス神経冠培養系を用いてこの時期のc-KIT陽性のメラノサイト前駆細胞の生存・増殖・分化にSCFが必須であることを報告してきた。ところが神経冠培養系にSCF単独添加した場合はc-KIT陽性細胞数は一定の細胞数までが増加するが、それ以上増加せず、DOPA陽性細胞数も非常に少ないので、最終分化に至るには他の因子が必であると考えメラノサイトの色素産生を亢進する因子であるα-MSH、エンドセリン(ET)-1、ET-3をSCFと共に添加培養したところ、c-KIT陽性細胞、DOPA陽性細胞が顕著に増加した。複数の因子が同様の効果を表したのはin vitroの条件下であり必ずしもin vivoを反映していない可能性も考えられる。今回の実験条件のなかで興味ある結果はET単独添加培養でもメラノサイトの分化が見られたことである。これまでの実験結果からSCFの存在なしではメラノサイト前駆細胞は生存できない可能性が強いので、ET単独添加でメラノサイトが出現することは矛盾している。我々は培養系に内存するSCFによって僅かに生き残ったメラノサイト前駆細胞がETにより増殖・分化した可能性を考え、SCFを遺伝子を欠如しているSIミュータントマウスの神経冠をET単独添加で培養したところ、メラノサイトは殆ど出現しなかった。SCF単独、およびSCF単独とETとの併用添加では、野生型で得られた結果とほぼ同数のメラノサイトが出現した。以上の結果から、メラノサイトの発生過程においてSCFがET-3より先に作用し、c-KIT陽性のメラノサイト前駆細胞の生存とある程度の増殖・分化がおこり、次いでエンドセリンによりその増殖と分化が著しく促進されると考えられる。
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