研究課題/領域番号 |
08671051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
放射線科学
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
茂松 直之 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (30178868)
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研究分担者 |
戸矢 和仁 千葉大学, 医学部, 助手 (30265912)
川田 哲也 千葉大学, 医学部, 助手 (60234077)
沓木 章二 千葉大学, 医学部, 助手 (00234443)
中山 俊威 千葉大学, 医学部, 助手 (90189077)
伊東 久夫 千葉大学, 医学部, 教授 (20095574)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
1997年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
1996年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | 放射線治療 / 重粒子線 / 遺伝子突然変異 / LET / アポトーシス / RBE |
研究概要 |
マウス由来の正常組織細胞(V79)、ヒト卵巣癌由来の細胞(RMG1)、ヒト乳癌細胞(MDA-MB231)およびヒト食道癌細胞(TE24)を用いて重粒子線照射後の細胞感受性と、照射後に発現したhprt locusの遺伝子突然変異に関する検討を行った。すなわち各種細胞の単層培養を行い、X線、炭素粒子線(20Kev/μm、80keV/μm)、ネオン粒子線(80keV/μm)による照射を施行し、colony法により放射線感受性を検討し、また6-thioguanin酸性株の定量から、hprt locusの遺伝子突然変異発現頻度を検討した。この結果少なくともV79,RMG1,MDA-MB231細胞において以下の実験結果が得られた。同一線量では重粒子線はX線に比較して殺細胞効果が強く、炭素粒子線ではLETが上昇すると殺細胞効果がさらに強まること、同一のLETではネオン粒子線の方がわずかに殺細胞効果が弱いことが示された。また、遺伝子突然変異は、重粒子線照射ではX線照射と比較すると非常に高頻度で、炭素粒子線ではLETが上昇すると突然変異誘発頻度がさらに上昇すること、同一のLETではネオン粒子線で特に高線量照射時に明らかに突然変異誘発頻度が低下することが示された。TE24においてもほぼ同様の傾向が認められたが今後さらに数回の追試実験が必要である。さらに、これらの細胞を用いて、様々な照射線量でアポトーシス発現頻度の定量を試みた。アポトーシスの定量は、APO2.7モノクローナル抗体を用いて、フローサイトメーターにより測定を行った。APO2.7モノクローナル抗体は、アポトーシスを起こした細胞のミトコンドリア膜の発現する38kDのタンパク(7A6抗原)を認識する抗体にPE標識を行った抗体であり、細胞に反応させた後にその蛍光量を測定することによりアポトーシスを起こした細胞を定量することができる。また、7A6抗原はアポトーシスの初期段階(DNAの断片化、クロマチンの凝集以前の段階)から発現するため、ジギトニンによる膜透過処理を行えばアポトーシス初期段階の細胞も検出可能である。しかしながら本測定法は、細胞を蛍光色素で染色後レーザー光を当て反射光を解析する方法であり、細胞の存在状態や条件(細胞数、凝集状態など)により測定が難しい場合も多かった。また本方法で定量できるアポトーシスが発現する照射線量も明らかでかなったため、今回は、X線照射時に本法で定量可能な条件(照射線量など)を求めるための実験を中心に行い、いくつかの細胞で至適条件が求められたにとどまった。今後は今回求められた実験条件を元に、重粒子線照射時のアポトーシスの発現頻度の定量を試み、重粒子線の殺細胞効果および遺伝子突然変異発現とアポトーシス発現の関連を検討する予定である。
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