研究概要 |
ラット大脳皮質組織を用いた^3H-CHAの特異的結合(A-1 adenosine受容体)、ラット線条体組織を用いた^3H-CGS-21680の特異的結合(A-2 adenosine受容体)に対する各種薬剤の抑制効果を検討した。Haloperidol,chlorpromazine等の抗精神病薬はA-1受容体,A-2受容体の両者に対して全く親和性がみられなかった。これに対し、抗てんかん薬であるcarbamazepineはA-1受容体に対してIC_<50>が22μM前後の比較的強い親和性がみられ、A-2受容体に対しても弱い親和性がみられたが、A-2受容体に対する親和性は100μM以上となっていた。また、clonazepamはA-1受容体に対してはIC_<50>が70μM前後と比較的強い親和性がみられたが、A-2受容体に対してはほとんど親和性がみられなかった。バルプロ酸はA-1受容体に対してもA-2受容体に対しても親和性はみられなかった。 ラットにcarbamazepine,haloperidolを2週間慢性投与し、大脳皮質におけるA-1受容体の変化の有無について検討した。Carbamazepine,の単独投与ではコントロール詳と比較し、受容体数が約15%増加していたが、carbamazepineとhaloperidolを併用投与することにより、この受容体数の増加が抑制される傾向がみられた。A-2受容体についても同様の検討を行っているが、現在のところ、A-1受容体でみられたようなcarbamazepine投与詳における受容体数の増加等の明瞭な変化はみとめられていない。 スライス標本でのドパミン等の神経伝達物質の放出に対する影響についても検討中であるが、現在のところ一定した結果は得られていないため、さらに検討を進めていく予定である。
|