研究分担者 |
馬場 元 順天堂大学, 医学部, 助手
大沼 徹 順天堂大学, 医学部, 助手 (10286734)
西山 悦子 順天堂大学, 医学部, 助手 (70286748)
岩本 典彦 順天堂大学, 医学部, 講師 (60211067)
新井 平伊 順天堂大学, 医学部, 教授 (50167988)
井上 令一 順天堂大学, 医学部, 教授 (10053000)
桐野 衛二 順天堂大学, 医学部, 助手 (90276460)
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研究概要 |
アンチセンス・カルビンディン(CB)遺伝子導入トランスジェニック(Tg)マウスの脳内におけるCBのmRNAおよび蛋白の発現は,前脳および中脳においてはノックアウト(homozygote)を示すこと,あるいは正常対照マウスの約50%の劇的な減少(heterozygote)を示すことをin situ hybridizationにより確認した。しかし,小脳(ブルキンエ細胞)ではTgマウスにおいても約10%の減少を示すのみであり,領域によって選択的な変化を示していた。若齢(3ヶ月齢)および老齢(24ケ月齢)の時点でもアルツハイマー型痴呆(ATD)に特徴的な神経病理所見である神経原線維変化や老人斑,顕著な神経細胞脱落などは認められなかった。さらに,他のカルシウム結合蛋白であるパルブアルブミン(PV)やカルレチニン(CR)の蛋白発現についてはかなり保たれ,加齢によってもあまり変化がなかったことより,CB発現の減少にともなってPVやCRが何らかの代償機構に関与している可能性もある。しかし,本Tgマウスは若齢の段階から海馬依存性の空間学習や空間作業記憶の障害や海馬CA1領域の長期増強の維持が障害されており,CBはCa^<2+>の緩衝作用のみならず,長期増強の維持にも重要な役割を担っていることが示唆された。本TgマウスはATDなども含めた認知機能障害を示すような変性疾患などの機序を解明するための有用なモデル動物になり得る。
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