研究課題/領域番号 |
08671118
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
精神神経科学
|
研究機関 | (財)東京都精神医学総合研究所 |
研究代表者 |
高橋 祥友 (財)東京都精神医学総合研究所, 精神病理研究部門, 副参事 (30163299)
|
研究分担者 |
平沢 秀人 東京都老人医療センター, 精神科, 医長 (50167607)
石川 義博 東京都精神医学総合研究所, 名誉研究員 (30090393)
|
研究期間 (年度) |
1996 – 1998
|
研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
|
配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1998年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
1997年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
1996年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
|
キーワード | 高齢者 / 自殺 / 自殺予防 / 心理学的剖検 / プライマリケア / うつ病 / 身体化 / 精神保健 / 予防 / 危険因子 |
研究概要 |
現在、わが国の65歳以上の高齢者は全人口の約16%であるが、自殺者の中に占める高齢者の割合は約26%にも上り、高齢者が非常に高い自殺率を示している。また、わが国の高齢人口は来世紀初頭にかけて、諸外国に比べて急増することを各種の調査が指摘している。このような現状を考えると、高齢者の自殺は現在も、そして将来も、わが国の精神保健にとって最重要の課題である。 本研究では心理学的剖検の手法を用いて、高齢の自殺者の特徴を調査した。自殺の背景には、診断も下されず、そして、適切な治療も施されていない精神疾患が高率に存在することが明らかになった。その中でも、うつ病が非常に重要な因子として浮かび上がってきた。高齢者では、若年者に比べて、抑うつ気分や精神運動制止などの典型的なうつ病の症状が顕著ではなく、さまざまな身体的な愁訴がしばしば前景に立つ。高齢者自身、家族、そして、高齢者が身体症状を訴えてしばしば受診する先のプライマリケア医も、そのような症状が自殺の危険を示す重要なサインであることに気づいていない場合も少なくない。このような身体化症状が前景に立つという特徴のある老年期のうつ病とともに、他の自殺の危険因子についても本研究は明らかにした。したがって、このような高齢者の自殺の危険を示すサインについて、一般の人々やプライマリケア医に正確な知識を普及するプログラムを開発する必要がある。 なお、心理学的剖検の手法を用いて本研究を実施したため、遺された家族や知人に対する自殺がもたらす影響についても探ることができた。たとえ、自殺した人が高齢であっても、遺された人々は、否認、抑うつ、不安、自責、身体化、怒り、合理化など、非常に複雑な心理的過程を示す。したがって、自殺予防は、自ら死を選ぼうとしている人に対する救済というだけでなく、自殺の危険の高い人の知人や家族にとっても重要な精神保健の活動である点が明らかになった。
|