研究課題/領域番号 |
08671178
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
三家 登喜夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (20187305)
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研究分担者 |
中井 一彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60237196)
英 肇 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (40198784)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | NIDDM / アミリン / 遺伝子変異 |
研究概要 |
アミリンは膵B細胞よりインスリンと共に分泌されている37アミノ酸残基より成るペプチドであり、NIDDM患者の膵ラ島アミロイドを形成する原因物質である。アミリンの作用に関しては、発見当初考えられていたインスリン抵抗性作用は現在では薬理学的な作用であると考えられており、真の生理作用は不明である。しかし、インスリンと同じ膵B細胞よりグルコースなどの刺激により分泌されるアミリンも、インスリンと同様血中グルコース濃度の調節に関与していることが考えられ、種々の報告がなされている。 我々は、日本人NIDDM患者を対象にアミリン遺伝子変異の有無をPCR/SSCP法を用いて検討した結果、第3エクソンにミスセンス変異(20位SerがGlyに置換、すべてヘテロ接合体)を発見した。本変異を有する患者の末梢血中には、Gly-20アミリン(84%)と正常アミリン(16%)が存在することをHPLCを用いて確認した。本変異の頻度はNIDDM全体では4.1%(12/294)であったが、推定発症年令が35才以下の比較的若年発症の患者に限ると10%(8/80)とかなりの高頻度であった。これらの患者は全員両親のいずれかに壮年発症のNIDDMを有し、ほとんどがインスリン治療を必要とするNIDDMであった。本変異を有する残りの4名は壮年発症のNIDDMであり、家族歴に糖尿病はなく薬物療法を必要としない軽症であった。なお、今回対象としたIDDM患者や、高齢の非糖尿病者に本変異は認められなかった。本変異を有する3家系の調査では、変異はNIDDMである親からではなく、IGTである親の方から由来していた。これらのことより、本変異単独では軽い耐糖能異常を引き起こすのみであるが、一般のNIDDMの遺伝的素因と重なると、その発症を早めより重症化することが考えられた。これらの臨床的な事実と、変異の存在する部位がアミロイド形成に重要な部位(20〜29位)に含まれることを考え合わせると、異常アミリンのアミロイド形成能がより強くなっている可能性が考えられる。 以上より、アミリン遺伝子Ser20Gly変異は、日本人NIDDMの成因およびその進展に関与する興味深い遺伝子変異であると考えられた。
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