研究概要 |
接着分子を介した骨芽細胞、破骨細胞、軟骨細胞の機能調節について検討した。 1.骨吸収と接着分子の関係 マウス骨芽細胞のICAM-Iの発現、骨芽細胞上の接着分子を介した破骨細胞形成および骨吸収に関する検討結果、(1)骨芽細胞上のICAM-Iの発現はPTH,IL-1αで有意に、1,25(OH)_2D_3(D_3)で軽度増加した。(2)PTH,D_3,IL-1αは破骨細胞形成および骨吸収の増加するが、その機序の一つとして骨芽細胞上のICAM-Iと破骨細胞前駆細胞のLFA-Iを介した細胞接着が関与していた。(結論)PTH,IL-1α、D_3による破骨細胞形成および骨吸収促進作用に接着分子を介した細胞間接着が重要な役割をはたす。 2.軟骨細胞上のCD44とヒアルロン酸(HA)との接着による軟骨細胞の増殖、機能調節 ヒトchondrosarcoma由来軟骨細胞(HCS-2/8)はHA受容体であるCD44を高率に発現し、HAと強く接着し、この接着はHCS-2/8の増殖およびc-mycの発現、TGF一βのmRNAの発現を誘導した。また、これらはCD44抗体の添加で抑制された。(結論)軟骨細胞はCD44を介し細胞外基質であるヒアルロン酸と接着し、この接着を介して機能調節される。 3.骨芽細胞上の接着分子発現について (1)PTH,IL-1αによる骨芽細胞上のICAM-Iの発現増加はPKA,PKCともに関与するが、特にPKCと強く関連していた。一方、(2)PTH,IL-1α、D_3は骨芽細胞の分化を促進し、IL-4はその分化を抑制し骨芽細胞上のICAM-Iの発現を減少した。これら因子による骨芽細胞上のICAM-Iの発現は骨芽細胞の分化と関係がある結果が得られた。 4.骨芽細胞上のインテグリンと細胞外基質コラーゲンとの接着による骨芽細胞の機能調節 (1)骨芽細胞MG63はα2β1インテグリンを発現しており、細胞外基質コラーゲンと接着することでIL-6mRNAの発現を増強した。また、接着によるIL-6mRNAの発現はTGF-βの添加で促進された。今後、TGF-βによるインテグリンの活性化、接着性の亢進、接着を介した骨芽細胞機能調節は検討中。
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