研究課題/領域番号 |
08671248
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
前川 平 東京大学, 医科学研究所, 講師 (80229286)
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研究分担者 |
村上 章 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (60210001)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 造血器腫瘍 / アンチセンス・オリゴヌクレオチド / 遺伝子異常 / 慢性骨髄性白血病 |
研究概要 |
最近、造血器腫瘍の病態が遺伝子レベルで解明され、得られた知見は遺伝子診断として臨床に還元されつつある。しかし、治療に関しては、レチノイン酸による急性前骨髄球性白血病の分化誘導療法以外に、分子標的を明確にしたものはないと言わざるを得ない。したがって次の目標は、異常遺伝子やその転写産物自体を標的とする疾病特異的な治療法の開発である。 我々は平成8年度科学研究費の補助をうけ、活性化あるいは増幅された癌遺伝子に対するアンチセンス・オリゴヌクレオチド(AS ODN)を用いて白血病細胞の増殖抑制とその機序を検討してきた。本年度に得られた成果を下記にあげる。 (1)慢性骨髄性白血病(CML)の特異的再構成遺伝子BCR-ABLに対するAS ODNがCML細胞の増殖を抑制し、その機序はアポトーシスの誘導であることを報告した。 (2)c-myc AS ODNでc-mycの発現を低下させると白血病細胞株HL60の増殖が抑制され、さらにその状態からc-mycの発現を急に増強させると、G_1/S期境界の細胞が選択的に、かつ大量にアポトーシスをおこすことを見い出した。 (3)がん抑制遺伝子WT1が白血病細胞で特異的に増幅されていることから、WT1に対するAS ODNを作製し検討したところ、K562などの白血病細胞株や新鮮白血病細胞の増殖を抑制できることを見い出した。 これらの研究を通じ、AS ODNの作用機序、細胞膜透過性や至適培養条件、標的配列の選択基準などについて検討を行い、種々の問題点を指摘するとともに、数多くのノウハウを蓄積してきた。今後解決すべき問題点としては、低濃度での配列特異的な作用発現に必要なAS分子の設計、腫瘍細胞の増殖抑制を図るための標的遺伝子配列の選択、エンドサイトーシスによる細胞に取り込まれたAS ODNが、リソソームにトラップされずに標的mRNAと結合できるようなドラッグ・デリバリー・システムの開発があげられる。
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