研究概要 |
再生不良性貧血(AA)、骨髄異形成症候群(MDS)のエリスロポエチン(EPO)単独およびEPOとG-CSF(granulocyte colony-stimulating factor)の併用により著効をみた多数の自験例に加えて主宰したEPO単独使用による再生不良性貧血,MDSについての全国多施設臨床治験および,引き続いて主宰したEPOとg-CSF併用による再生不良性貧血,MDSの全国多施設治験の成績を基にして検討した,特記すべき事項として,多施設治験において,AAを3群に分け,1-C群:G-CSFのみでEPOを投与しない群,2-G-CSF+EPO 200IU/kg投与群,3-G-CSF+EPO 400IU/kg投与群の貧血改善効果を行い、1群4/31例(12.9%),2群6/41例(14.6%),3群14/38例(36.8%)と有意差をもってEPO 400IU/kgの有効性が実証された点である.従来の報告でサイトカイン療法の有効性を示唆するものは多くあったがrandamized controlを置いた検討はなされていないので、本研究が,はじめてAAに対して,適用量の限度を持って有効であることを決定したものである.有効例については試験期間の12週間を超えて、さらに12週間の投与を続けた検討を行い,投与期間を延長することにより有効性が増強されることも明らかとなった.次に有効例と無効例の多因子解析の結果、治療前ヘモグロビン値(有効例平均7.7:無効例平均6.6g/dl),網赤血球数(有効例平均42.1:無効例平均26.0x10^3/μl),血中EPO濃度(有効例平均1889:無効例平均5665mU/ml).血清トランスフェリン・レセプター濃度((有効例平均1007:無効例平均486ng/ml)有意差を示した.年齢,性別,治療までの期間,輸血歴,血小板数,血清フェリチニン値などは有意差を示さなかった.まとめるとAAの重症度,血中EPO濃度,血清トランスフェリン・レセプター濃度がEPO適用の指標となることが明らかとされた.なお,可溶性EPOreceptorについて,56例の貧血患者(AA11例,MDS9例を含む)について検討したが,造血能と有意差の関連を見いだすことは出来なかった.
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