研究課題/領域番号 |
08671263
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
藤井 寿一 東京女子医科大学, 医学部, 助教授 (70107762)
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研究分担者 |
三輪 史朗 (財)冲中記念成人病研究所, 所長 (40034954)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1996年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | 溶血性貧血 / 赤血球酵素異常症 / グルコースリン酸イソメラーゼ異常症 / 変異酵素 / 構造異常 / 機能異常 / 組み換え型酵素 / 融合タンパク |
研究概要 |
グルコースリン酸イソメラーゼ(GPI)異常症は解糖系酵素異常による遺伝性溶血性貧血で、世界で40家系以上が報告されている常染色体劣性遺伝性疾患である。GPIの多様な構造変異が遺伝性溶血性貧血の原因となることが明らかになってきたが、GPIはその機能ドメインが未だ不明確で、遺伝子変異・酵素機能異常と病態との関係は十分に解明されていない。そこで今年度はヒトGPIの大腸菌体内での発現系を構築し、組み換え型ヒトGPIをヒト赤血球GPIとの酵素学的諸性質を比較検討した。さらにGPI異常症の原因となる点突然変異を有する変異GPIを発現・精製して、酵素学的諸性質と遺伝子変異・臨床像との関連を検討した。ヒト網赤血球より単離したGPIcDNAをグルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)との融合蛋白として大腸菌体内で発現させた。GST-GPI融合タンパクはモル当たり比活性が、赤血球GPIの約80%に低下していたが、基質であるグルコース 6ーリン酸(G6P)・フルクトース 6ーリン酸(F6P)に対する親和性は赤血球GPIとほぼ同一であった。変異GPIの比活性・基質親和性・熱安定性を正常対照と比較検討したところ、N末端の変異T51は比活性が正常の約70%に低下し、さらに熱に対して著しく不安定な性質を示した。急性溶血発作を示さないバリアントT224Mは比活性が正常の約85%で、熱に対する不安定性は他の変異に比して軽度であり、基質G6Pに対する親和性は正常より強いことが明らかになった。Q343R・D539Nの各バリアントは熱に不安定な性質と共に、基質親和性の低下を認めたが、Q343RはG6P・F6Pの両方、D539NはF6Pに対する親和性のみが有意に低下していた。以上、検討した4種の変異GPIは共通して熱に対して不安定であったが、熱安定性の程度および基質F6Pに対する低親和性が急性溶血発作の有無に相関することが示唆された。
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