研究課題/領域番号 |
08671278
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
荒川 正昭 (荒川 正明) 新潟大学, 学長 (80069012)
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研究分担者 |
上野 光博 新潟大学, 医学部附属病院, 助手 (90260546)
成田 一衛 新潟大学, 医学部, 助手 (20272817)
西 慎一 新潟大学, 医学部附属病院, 助教授 (70251808)
中川 洋一 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (80211415)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
1996年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 慢性糸球体腎炎 / 糸球体硬化 / 実験腎炎 / 遺伝子 / アンジオテンシンII受容体拮抗薬 / 糖尿病性腎症 / PAI-1遺伝子多型 / アポリポプロテインE遺伝子多型 / アポトーシス / 最終糖化産物 / 膜性腎症 / IgA腎症 / Haemophilus parainfluenzae / 慢性関節リウマチ / アミロイドーシス |
研究概要 |
従来、実験腎炎で使われてきた動物モデルは、急性・一過性の経過を示すものが殆どであった。これらのモデルを用いた研究により、様々な炎症のメディエータやサイトカイン、成長因子などが糸球体病変の形成に関わっていることが明らかにされてきた。しかし一方では、ヒトの腎炎の多くが、何故、慢性・進行性の経過を辿り、腎機能低下をきたすのかは不明である。 私たちは昨年度までに、ラットで片側腎摘出後に抗Thy-1.1抗体を静注することによって、慢性・進行性の糸球体腎炎を惹起することが出来ることを証明し、このモデルと、急性・一過性モデルの各々の腎臓の間で著しく発現量に差のある遺伝子を、subtraction法を応用して単離することに成功し、そのうちの数種類の遺伝子を同定した。本年度はさらに、この糸球体硬化モデルでアンジオテンシンII受容体拮抗薬が、蛋白尿と病理組織学的変化を軽減し、腎における線維化の指標であるα-smooth muscle actin(α-SMC)の発現を抑制すること、また、このα-SMC遺伝子のプロモーター領域にあるTGF-βcontrol element(TCE)に結合する蛋白の活性を抑制することを報告した。 今後これらの遺伝子の機能を解析することによって、腎炎の慢性化の機序が明らかになることが期待される。さらに、これらの遺伝子の発現調節機構を解明することによって、現在特異的な治療法が無いに等しい慢性腎炎に対して、より特異的かつ有効な治療法が開発される可能性もある。 糖尿病性腎症に関しては、多数例の組織学的検討を行い、糸球体病変のみでなく、間質病変が並行して出現・進展することを報告した。また、糖尿病性腎症は、血糖のコントロール状態にかかわらず、発症する症例としない症例があり、その背景として遺伝的素因が関与していると考えられる。私たちは、15年以上の糖尿病歴を有するインスリン非依存性糖尿病患者208症例について、アンジオテンシン変換酵素遺伝子の多型とプラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1(PAI-1)遺伝子多型を解析した。その結果、糖尿病性腎症の発症にこれらの遺伝子の多型は関与しないものの、大血管合併症のリスクファクターであることを報告した。また、10年以上の糖尿病歴を有するインスリン非依存性糖尿病患者で、アポリポプロテインEの多型と腎症発症の関連を検討した結果、アポリポプロテインE4アリルが腎症発症に対して保護因子であることを報告した。
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