研究課題/領域番号 |
08671310
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
石川 勲 金沢医科大学, 医学部, 教授 (30097414)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1996年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 血液透析 / 多嚢胞化萎縮腎 / 腎嚢胞 / 腎細胞癌 / 尿細管 / 腎生検 |
研究概要 |
血液透析患者は増加の一途をたどっているが、これらの患者の病腎には後天性腎嚢胞が発生し、これと関連して腎細胞癌も高率に発生することが我々の研究から分かってきた。発生機序に関しては、単層上皮を持つ嚢胞-重層化した上皮を持つ嚢胞-腺腫-腎細胞癌と一連の多段階的発生が推察される。本研究ではこのsequenceの第一段階である嚢胞発生について検討した。1.後天性腎嚢胞と尿細管との交通の有無およびその頻度の検討。透析歴19年の後、腎細胞癌を合併した32歳男性症例について、摘出腎のホルマリン標本より1,000枚の連続切片をつくり、画像解析装置上で100個の嚢胞壁をトレースし尿細管との連続性の有無をみた。検討した嚢胞は直径が150から900ミクロンで、その結果、100個のうち嚢胞と尿細管との交通のないもの30個、一本の尿細管と交通を見るもの37個、二本の尿細管と交通を見るもの33個であった。従って尿細管と交通のある後天性腎嚢胞は100個中70個と多くを占めていた。このことは腎移植の成功によって後天性腎嚢胞のほとんどが2週間という短期間に退縮するという事と関係があるのかもしれない。2.腎生検標本720例を用いての後天性腎嚢胞の検討。50歳以下の患者607例中11例、51歳以上の患者113例中10例に嚢胞を認めた。50歳以下のこの11例ではクレアチニンクリアランスは47.5±25.6ml/minと低下しており、レクチンによる免疫組織学検討を行うとtetragonolobus lotusで陽性、peanutで陰性を示し近位尿細管由来に一致していた。以上より軽度腎障害でみられた嚢胞は多嚢胞化萎縮腎の早期病変と考えられた。3.後天性腎嚢胞におけるCFTRmRNAの発現。液の分泌に関係するCFTRの発現を調べるために、試行錯誤で条件設定を検討中である。以上のように本年の研究で多嚢胞化萎縮腎の嚢胞は尿細管と交通しているものが多いこと、腎機能が二分の一に低下しても発生し始めるという新たな知見が得られた。
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