研究概要 |
胚発生の初期より全身に血液を送るポンプとして重要な役割を担う心臓は、形態形成の過程で多くの遺伝子がオン・オフすると考えられているが、未だにその全容は明かでない。私たちは動物実験でレチノイン酸がマウス胎仔心の流出路に異常を誘発し、流出路円錐隆起部を構成する間葉系細胞の増殖が抑制されることを確認してきた。ビタミンAシグナルは細胞内レチノイン酸結合蛋白、核内レチノイン酸受容体(RARとRXR)などによって標的遺伝子のレチノイン酸応答配列に結合しシグナルが伝達されているといわれている。そこで核内レチノイン酸受容体(RAR)に注目し、レチノイン酸による核内レチノイン酸受容体(RAR)発現制御を胎仔心(in vivo)を用いて検討した。正常胎仔心では核内レチノイン酸受容体(RAR)-β、-γは胎齢11日から15日に減少傾向が認められた。レチノイン酸を投与すると投与4時間後に大きなピークを示し、胎齢12または13日に小さなピークを示した。レチノイン酸投与後、胎齢12日に胎仔心を3つに分割し核内レチノイン酸受容体(RAR)発現を検討したところ、心流出路ではレチノイン酸処理により核内レチノイン酸受容体(RAR)-β発現の減少傾向が見られ、核内レチノイン酸受容体(RAR)-γでは増加傾向が認められた。第60回日本循環器学会(1996,大阪)発表、第32回日本小児循環器学会(1996,大阪)発表、Weinstein Cardiovascular meeting(1996,Philadelphia,USA)発表。第61回日本循環器学会(1997,東京)発表予定、第32回日本小児循環器学会(1997,京都)発表予定、第37回日本先天異常学会(1997,京都)シンポジウム発表予定。現在、上述した研究成果をDevelopmental Biologyに投稿準備中である。
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