研究概要 |
ラット心移植モデルを用いて,バクトボラミン(BBL)の免疫抑制効果を検討した.BBLを単独投与した群では,ラット肝移植モデルに比べて生着期間の延長は短かった.すなわち,心移植モデルのグラフト生着期間は、対照群で6.0日であったのに対し,BBL200mg/kg/日投与群では,7.4日であった.肝移植モデルのクラフト生着期間は対照群で10.9日であったのに対し,BBL200mg/kg/日投与群では,29.1日であった. ラット心移植モデルを用いたBBL単独投与では,十分なグラフトの生着期間の延長が得られなかったので,つぎに肝移植モデルを用いてBBLと他剤との併用効果について検討することとし,BBL100mg/kg/日とtacrolimus(FK)を組み合わせた。また,比較のためにmizoribine(MIZ)とFKを併用した.FKの投与量は0.06または0.08mg/kg/日,MIZは2.5,5.0,または10.0mg/kg/日とした. BBLとFKとを組み合わせて投与したラットのうち71%(5/7)では肝移植後100日以上の長期生存が得られた.MIZとFKを組み合わせて投与したラットの平均生存日数は77.6日であった.いずれの群でも有意な生存日数の延長が得られた.つぎに,これらの薬剤の相乗効果を評価するためにcombination index(CI)を計算したところ、MIZとFKでは0.48,BBLとFKでは0.26となった.すなわち,BBLはFKと併用した場合に、MIZとFKを併用するよりも相乗効果が強いことが確認された.
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