研究分担者 |
金内 一 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (20242141)
小川 利久 東京大学, 医学部・附属病院分院, 助手 (80224111)
中村 卓郎 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (10251208)
宇納 恵三 東京大学, 医学部・附属病院(分), 助手 (10272593)
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研究概要 |
1. 背景 (1) Piは細胞内にenergy産生に必須の元素であり,細胞外Piレベルの低下は細胞内energy産生を低下させる. (2) 細胞外Piレベルは,おもにPTHによる腎Pi排泄の調節に依存する. (3) Energy需要の増加する外科侵襲後のPTH機能や腎Pi排泄の報告は少ない. 2. 目的 (1) 外科侵襲後の病態-hypoxiaやendotoxemia-では尿中Pi排泄(u-Pi)がどのように変化するかを調べた. 3. 方法と結果 (1) 体重200gのWistar系ratsを使用した. (2) Hypoxia(10%O_2)をratsに6時間負荷すると,1)尿中Pi排泄量は低下した;2)血中PTH濃度は変化しないが,腎原性cyclic AMP濃度は低下した;3)尿中norepinephrine排泄量は増加した;4) 尿中dopamine排泄量は増加した. (3) 12時間毎にhypoxiaをratsに負荷すると,1)hypoxia負荷時に尿中PiとcyclicAMP排泄量はともに低下した;2)酸素濃度を大気濃度に戻すと,尿中PiとcyclicAMP排泄量は対照レベルに戻った. (4) 1)E.coli endotoxin 4 mg/kgを静脈内投与するとu-Piは有意に低下した(salin投与に比べて);2)この低下したu-Piは腎神経切除によってsaline投与レベルまでには回復しなかった. 4. 考察 (1) 外科手術後のhypoxiaやendotoxemiaでは腎Pi排泄は低下し,Piの体内貯留がおきる. これは,1)hypoixaではPTHに対する腎応答が特異的に低下し;2)腎尿細管でPTH刺激性cyclic AMP産生前の障害であり;3)これらは,腎でのnorepinephrineの産生増加とdopamine産生低下が関与している. (2) しかし,細胞レベルでのhypoxiaを特徴とするendotoxemiaでは,PTHの腎Pi排泄に交感神経は大きな役割をもっていない. (3) 術後のPi貯留が術後のenergy産生を亢進させるための合目的な生体の反応であるのか,今後の研究課題である.
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