研究概要 |
Spr ague-Dawley系ラットの頬髭を用いて、組織の採取、標本の作成を行った。エーテル麻酔下にて胎生15,17,20日の胎仔を子宮より摘出し頬髭を含む上口唇皮膚を実体顕微鏡下に採取した。また新生児ラットの組織も同様に採取した。100-500μm厚切り切片とし、4%パラホルムアルデヒド2時間4℃で浸漬し、共焦点顕微鏡用標本を作成した。また、免疫組織学的染色は基底膜構成蛋白であるラミンおよびIV型コラーゲンを1次抗体として用いた、蛍光染色はFITC蛍光標識の2次抗体を用い間接法にて行った。共焦点レーザー顕微鏡による観察では、全載標本として観察することにより,切片作成による機械的障害を減らすことが可能となった。得られた断層イメージからコンピュータによる3次元構築を行い、特に毛乳頭周辺の立体的観察を行った。ラミニン,IV型コラーゲンは毛包基底膜に陽性であり、特にラミニンは毛乳頭上部で強く染色された。しかし,胎生期の段階ではこれらの蛋白の発現は少なく,また,新生児期以後ではラットの場合,頬髭は厚いコラーゲンのカプセルに包まれ、抗体の組織への浸透性が低下した。この点は固定法などの改善を要すると思われた。共焦点レーザー顕微鏡による観察方法は組織障害の点では優れていたが抗体の浸透性についての問題点を残した。電子顕微鏡による観察では、毛乳頭、毛包上皮間にlamina densaが連続的に観察された。
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