研究課題/領域番号 |
08671387
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
外科学一般
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
小崎 浩一 東京医科大学, 医学部, 助手 (10256274)
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研究分担者 |
長尾 桓 東京医科大学, 医学部, 助教授 (90143487)
小崎 正巳 (小崎 正己) 東京医科大学, 医学部, 教授 (30096309)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1998
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研究課題ステータス |
完了 (1998年度)
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配分額 *注記 |
2,300千円 (直接経費: 2,300千円)
1998年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
1997年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
1996年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 低温持続灌流保存 / 温阻血障害 / 一酸化窒素 / Pentoxifylline / UW-gluconate液 / University of Wisconsin solution / 肝のviability / 心停止ドナー / 低温持続灌流保存法 / 死体肝移植 / 再灌流障害 / 電極法 |
研究概要 |
目的:心停止ドナーからの肝移植においての低温持続灌流保存法(MP)及びPentoxifylline(PTX)併用の有用性を平成8〜10年度にわたって検討した。 方法:平成8年度;<心停止ドナーからのブタ肝移植に対するMP及びPTX併用の有用性の検討>ブタを使用し、ドナーは腹部大動脈からの脱血により60分間ショック状態とした後、更に心停止に至るまで脱血し肝を摘出した。摘出肝は2時間保存後レシピエントに移植したが、保存法によりUW液(UW)で単純冷却保存した群(I群;対照群)と、UW-gluconate液(UW-G)を用いてMPした群を検討した。まず門脈から灌流した群(II群)と、肝動脈から灌流した群(III群)を検討し、III群で灌流液にPTXを添加した群(III-PTX群)を検討した。移植後肝機能の指標としてAST,ALT、LDH,ヒアルロン酸(HA)および動脈ケトン体比を測定し、肝の組織学的検索並びに生存率を比較検討し、心停止ドナーからの肝移植においてのMP及びPTX併用の有用性を検討した。 平成9年度;<肝の阻血、再灌流障害に対する一酸化窒素(NO)の関与とその防止に関する研究>NOが保存肝の阻血、再灌流障害に関与していることから、障害防止剤であるPTXを使用しその有効性を検討した。そこで温阻血肝におけるNOの産生量を電極法で直接経時的に測定し、PTX投与の効果を検討した。ラットを用いて、PTX非投与群(Control)とPTX25、50、75mg/kg/dayの各投与群について肝門部遮断による30分間温阻血再灌流障害肝を作成した。PTXは実験3日前から4日間腹腔内投与で行い、温阻血障害負荷によるNO発生量と肝機能(採血は遮断前、遮断解除直後、30分後、3時間後、24時間後)を経時的に測定した。 平成10年度;<肝の低温持続灌流保存法における灌流液の検討>心停止ドナー肝の臨床移植にMPを用いることを目的として、灌流保存液の検討を行った。ラットを用い、肝を摘出し、経門脈的に灌流保存した。実験群は灌流液により、第1群:UW、第2群:UW+PTX50mg/kg、第3群:UW-Gとした。測定項目は、NO、肝機能、アンモニア(NH3)、総アミノ酸量(TAA)、分枝鎖アミノ酸量(BCAA)、尿素(Urea)、Fisher比であり、灌流開始後1、4、6、12時間後に灌流液を5ml採取して測定し、灌流前後の肝重量の変化及び摘出肝の組織学的検索を行った。 結果:(1)長期生存(移植後生存期間>48時間)例数は、I群;1/4(25%)、II群;1/4(25%)、III群;1/4(25%)、III-PTX群;4/5(80%)であり、肝機能及び移植肝の病理所見も他群に比してIII-PTX群で優れていた。(2)温阻血負荷により肝のNO産生量は増加し、PTX群ではControl群に比してその産生量は有意に多かった。また肝機能は、Control群に比してPTX群で有意に良好であった。(3)灌流液の検討では、肝機能は第3群が第1、2群に比して有意に低値をとった。HAは第3群が第1、2群に比して有意に低値をとり、内皮細胞障害が示唆された。NH3は、第3群が第1、2群に比して有意に低値をとり、TAA、BCAA、Ureaは灌流開始後6時間までは第3群が第1、2群に比して有意に低値をとった。組織学的には第1群において中心静脈の拡張が認められた。 結論:心停止ドナーからの肝移植にMP及びPTX併用は有用であり、肝の単純浸漬保存で、UWにPTXを添加したUW+PTXは、UWよりも優れた保存液であったが、MPにはUW+PTX並びにUWは不適でありUWGが優れていた。またNOは肝の阻血・再灌流障害の発生に対して抑制的に作用しているものと考えられた。
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