研究概要 |
本研究の目的は異種膵ラ氏島移植拒絶反応に関して、ノックアウトマウスを用い、より詳細に拒絶反応のメカニズムを解析し、異種移植拒絶反応の新たな制御法を見出すことにあった。 1。ラットからマウスへの異種膵ラ氏島移植拒絶反応の解析 ラット(Lewis)単離膵ラ氏島(500)をSTZ糖尿病マウス(BALB/c)の経門脈的肝内に移植した。拒絶反応が発現した時点でレシピエントより肝臓を摘出、単核球を単離しFACSで解析した。脾細胞、胸腺細胞、末梢血単核球も同様に解析した。拒絶反応発現時の肝臓単核球では、isograftsと比較しCD3^+IL-2Rα^-β^+、CD3^+CD8α^+β^+、TCRαβ^+LFA-1^+のintermediateT cellsが増加することが判明した。CD3^+IL-2Rα^+,CD3^+CD4^+,CD3^+TCRγδ^+,CD3^-IL-2Rβ^+(NK cells)、B220^+(B cells)には有意の変化はなかった。 2。ノックアウトマウスを用いた解析 CD8-/-マウスをレシピエントとした場合、拒絶反応は正常マウスと同様に発現した。拒絶反応発現時の肝臓単核球は、1と同様にintermediateT cellsが有意に増加してた。 CD4-/-マウスは現在検討中である。 3。新たな拒絶反応制御法 上記知見により、膵ラ氏島異種移植拒絶反応の発現にintermediateT cellsが関与している事が判明した。次に、intermediateT cellsを標的にしたモノクローナル抗体(anti-IL-2Rβ)の拒絶反応に及ぼす影響を検討した。その結果、anti-IL-2Rβ抗体で拒絶反応を制御できることが、明らかになった。 本研究により、異種移植拒絶反応には、intermediateT cellsが重要な役割を担っていることが示唆された。
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