研究分担者 |
佐々木 慎 東京大学, 医学部・附属病院, 医員
篠崎 大 東京大学, 医学部・附属病院, 助手
堀 信一 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (90282631)
正木 忠彦 東京大学, 医学部・附属病院, 助手 (30238894)
|
研究概要 |
1.新しく開発されたイメージサイトメトリーCAS200(ICM)を用いて腫瘍性病変の核DNA量測定を行い,特に平均核DNA量(m-Dl)に注目して定量と解析を施行した.従来の顕微蛍光測光法(CPM)・フローサイトメトリー(FCM)の結果と比較したところ,この3法で測定したDNA index値がよく相関すること,測定時間・手技においてICMは有用であることが判明した. 2.増殖活性因子(Ki-67),癌遺伝子等産物(p53)をCASを用いて定量測定し,大腸sm癌の再発・転移に関する予後規定能について検討したが,両者とも有意差は認められなかった.またm-DlはKi-67・p53のいずれとも相関しなかった. 3.大腸sm癌の再発・転移に関する臨床病理学的予後因子について,多変量解析を施行した結果核DNA量(m-Dl)のみが有意であった.m-Dlの高値症例は再発・転移のハイリスクと考えられ,内視鏡的治療の適応からははずれると考えられる. 4.大腸癌の肝転移に関するprospective studyをタッチ標本とICMを用いて行ったところ,m-Dlは肝転移群において非肝転移群よりも有意に高いことが判明した(p<0.01).大腸癌sm癌において設定した「m-Dl>1.7」というcut off値を設定したところ,「m-Dl>1.7」の17例中9例(52.9%)に肝転移がみとめられた.異時性肝転移に関する「m-Dl>1.7」の感度,特異度,陽性的中度はそれぞれ80.0%(4/5),72.0%(18/25),36.4%(4/11)であり,精度は73.3%であった. 5.さらに症例数を重ねた検討により,大腸癌の再発・転移に関する極めて有用なハイリスクの設定が可能でかつ臨床において簡便・迅速に行えるようになることが可能になるものと期待される.
|