研究課題/領域番号 |
08671439
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器外科学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
尾崎 信弘 京都大学, 医学研究科, 助手 (50211818)
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研究分担者 |
山本 雄造 京都大学, 医学研究科, 助手 (70281730)
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 助手 (60273455)
猪飼 伊和夫 京都大学, 医学研究科, 講師 (60263084)
山岡 義生 京都大学, 医学研究科, 教授 (90089102)
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研究期間 (年度) |
1996
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研究課題ステータス |
完了 (1996年度)
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配分額 *注記 |
2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
1996年度: 2,000千円 (直接経費: 2,000千円)
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キーワード | 熱、ショックタンパク / サイパ-サーミア / 肝癌 / 肝切除 / 虚血再潅流障害 / 耐性獲得 / 虚血耐性 / 温熱療法 |
研究概要 |
研究は放射線科の協力を得て実施した。臨床ハイパーサーミア用のサーモトロンRF80を用いて肝右葉切除予定の肝癌患者に本研究の主旨を説明し、同意を得られた場合にのみ手術3日前に肝加温を行った。ハイパーサーミア前にエコー下に多点センサーを肝内に穿刺誘導し、肝加温中の腫瘍部温、及び非腫瘍部温測定を行った。RF波による加温中に皮膚に熱集中部位が生じ、その点に痛みを訴えて十分なエネルギーを与えられない場合を除けば加温効果は十分で42-43℃に上昇させられた。3日後の開腹所見では皮下組織に軽い熱傷の跡がみられ、肝門部の組織が幾分浮腫ぎみな印象がある以外問題はなく、手術当日の肝機能検査上も異常を認めなかった。熱ショック蛋白の誘導に関しては純粋飼育の動物と異なり、正常肝と臨床上判定される症例においてもHSP72がわずかに発現していること、さらに肝炎に罹患している患者の場合には肝加温を施行しなかった症例においてもHSP72の発現があることが判明した。しあし、ハイパーサーミアを施行した症例ではその濃度はさらに高くなっていたことから、今回の方法で術前前処置として手術3日前のハイパーサーミアによるHSP72誘導が人肝においても可能であることがわかった。術後の経過に関しては術前ハイパーサーミアを行ったためと考えられる合併症は一例もなく、術後経過は生化学検査、ICGテストを含めすべて順調であり副作用は認めなかった。本年度の成果として人肝においてもHSP72を誘導することが可能であることが判明したため、今回は患者の安全を考えて肝切離中のプリングル氏法は一切使用しなかったが、今後は虚血再潅流障害に対する耐性が実際に誘導できるかどうかが課題となる。また、日本においては肝癌患者の大多数が肝炎に罹患しているため、今回判明したハイパーサーミア以前よりHSP72が発現している場合とそうでない場合の比較検討が重要になると思われた。
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