研究概要 |
1潰瘍性大腸炎に対するCD44v6の分子生物学的分析 潰瘍性大腸炎22例、Crohn病21例、大腸癌10例、大腸腺腫20例、その他の腸炎27例にCD44v6epitopeのアルカリフォスフォファターゼ-スプレクトアビジンビオチン-免疫組織化学染色を試行した。それぞれの発現率は86.4%,60.0%,80.0%,60〜100%と高率であった。潰瘍性大腸炎とクローン病の間には有意差は認められなかった。またコントロールとして用いた大腸癌の切除腸管から採取した肉眼的正常部位からはCD44v6epitopeの発現は認められなかった。炎症性腸疾患のみならず急性の腸炎においてもCD44v6epitopeは発現し粘膜上皮と炎症細胞における情報伝達に重要な役割を果たしていると考えられる。 2クローン病に対するIL-1β、IL-6, IL-8, IL-10の分子生物学的分析 Crohn病18例(小腸18例、大腸6例)、潰瘍性大腸炎4例の肉眼的病変部、非病変部と対象にその他の急性腸炎2例、癌手術時の炎症のないとした小腸大腸5例の新鮮凍結組織からAGPC法にてmessenger RNAを抽出し、Northern Blot法を施行した。現在ハイブリダイゼーションにて検討中であるが、クローン病におけるサイトカインの関与が強く示唆される結果が出つつある。今後TNFα、IL-12などの検討や組織染色にてカイトカインの局在の検討も予定している。
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