研究概要 |
ラットの肝部分切除の胆管再生に分泌型lgA(slgA)およびInsulin-like growth factor 1(IGF-1)の及ぼす影響を検討した.slgAおよびIGF-1を腹腔内投与しても,明らかな胆管再生促進効果は認められなかった. 動物実験に続いて,消化器外科手術を施行した20症例で循環血中のslgA値と門脈血サイトカイン濃度等との関連を検討した.術中,門脈血と末梢血を同時にサンプリングし,サイトカイン濃度,slgA濃度を測定した.術後は一般肝機能検査とともにslgA濃度を測定した. 循環血slgAと門脈血インターロイキン6(IL-6)濃度との間に正の相関(R=0.48,P<0.05)が認められた.術後経過において,slgAの血清値とALP(r=0.87,P<0.01),ALT(r=0.70,P<0,01)との間に強い正の相関関係が認められた. 門脈血IL-6はslgA産生を刺激しているかもしれない.slgAは障害胆管の再生,成長を促進する可能性が示唆された.
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