研究概要 |
3週〜4週のWister-Imamichiラットを用いて圧負荷心不全モデルラットを作成しノーザンブロット解析およびin situ hybridization解析を施行し、カルシウム依存性のシグナル伝達系の酵素の遺伝子発現の変化をstudyした。プローブとしてカルシウム依存性プロテインキナーゼI,IIα、IVα,及びカルシウム依存性プロテインキナーゼIの活性化因子であるカルシウム依存性プロテインキナーゼキナーゼのオリゴヌクレオチドに32P-dATPを標識して使用した。ノーザンブロット解析の結果では、圧負荷モデル群とコントロール群のいずれも今回studyしたカルシウム依存性プロテインキナーゼI,IIα、IVα,及びカルシウム依存性プロテインキナーゼIの活性化因子であるカルシウム依存性プロテインキナーゼキナーゼもほぼ同じような発現を示し、明らかな差異は認められなかった。in situ hybridization解析ではコントロール群においてカルシウム依存性プロテインキナーゼI,IIα、IVα,及びカルシウム依存性プロテインキナーゼIの活性化因子であるカルシウム依存性プロテインキナーゼキナーゼも全て、心尖部、左室自由壁、中隔側とも一様に発現シグナルが観察されていた。圧負荷モデル群でも結局、発現パターンや強度でコントロール群と大きく異なるような傾向を示したキナーゼはなかった。今回のstudyでプローブとして使用したカルシウム依存性プロテインキナーゼI,IIα、IVα,及びカルシウム依存性プロテインキナーゼキナーゼらのカルシウムを介する伝達系のキナーゼ群はもともと心組織中に一様な発現を示しており、圧負荷によりその発現が著しく増強したり、もしくは抑制されることも認められなかった。よって、これらのキナーゼ群に関していえば、伸展刺激による心肥大のメカニズムにおいて、大きな関与は否定的であることがわかった。その結果、心不全モデル群とコントロール群で明らかな遺伝子発現の違いは検出できず、すくなくとも心筋の肥大にこれらのキナーゼ群は関与していないことがわかった。
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