研究概要 |
【平成8年度】目的:calpain(CL)の虚血再灌流時心筋障害への関与とCL阻害剤による保護効果を免疫組織化学的に解明する。方法:ラット摘出心灌流モデルで心筋保護液注入後、常温虚血し再灌流時の逸脱酵素遊出量と心機能回復率を測定した。また前駆型CL抗体と活性型CL抗体を用いて心室筋のCL抗原性を測定した。結果:心筋保護液にCL阻害剤を添加することにより、再灌流時心筋逸脱酵素遊出を抑制し、良好な機能回復が得られた。心筋障害部に一致して活性型CLの分布を認めた。結語:虚血再灌流時にCLが活性化され心筋障害に関与していたことが示唆された。CL阻害剤を添加することにより心筋保護効果が得られた。 【平成9年度】目的:長時間心保存中のCLisoform(μ型,m型)の動態解明とCL阻害剤による保護効果を免疫学的に解明する。方法:ラット摘出心を4°12時間保存の後、常温再灌流し逸脱酵素遊出量と心機能を測定した。また、前駆型μ-CL抗体と前駆型m-CL抗体を用いて心室筋のCL抗原性を測定した。結果:心保存液にCL阻害剤を添加することにより、再灌流時の心筋逸脱酵素遊出を抑制し、良好な心機能が得られた。μ-CLは心保存中、再灌流時ともに活性化され、m-CLは主に再灌流時に活性化された。CL阻害剤を添加することにより保存中ならびに再灌流時ともにμ-,m-CLの活性化を抑制できた。結語:長時間心保存中においてもμ-CLは活性化され心筋障害に関与していた。また再灌流時にはμ-,m-CLともに活性化され心筋障害に関与していたことが示唆された。CL阻害剤を添加することによりμ-,m-CLの活性化は抑制され、心保存効果が得られた。
|