研究概要 |
10種の機能性タンパク質化学固定した繊維長30μmのePTFE人工血管(BPE/MA,TGF-α/MA,TGF-α/FN/MA,apo-transferrin/MA,apo-transferrin/MA,Fe-citrate/MA,Fe-citrate/FN/MA,insulin/MA,insulin/FN/MA,transferrin/MA)にイヌ内皮細胞を播種し、その発育状況を観:察した。血管内皮細胞は経時的に増殖し、中でもinsulin/MA、transferrin/MA上で細胞数、コロニー形成細胞数とも多く、良好な発育を示した。 この結果を基に、4種の化学固定ePTFE人工血管(apo-transferrin/MA/ePTFE,apo-transferrin/FN/MA/EPTFE,insulin/MA/ePTFE,insulin/FN/MA/ePTFE:内径3.5mmまたは4mm、グラフト長約10mm)をイヌ8頭の両側頸動脈に移植し、超音波ドップラー血流計、超音波画像診断装置、血管造影により、術後2週間以内のグラフトの開存性を調べるとともに、摘出後光学顕微鏡による組織学的観察(HA、Collagen type I,III、α-smooth muscle actinによる免疫組織化学的染色)を行った。apo-transferrin/FN/MA/ePTFE、insulin/FN/MA/ePTFEの50%に開存が認められた。内皮細胞の被覆や血管新生が早くも吻合後1週間で認められた。 以上より、小口径人工血管の開存には早期の内皮細胞の被覆が重要であり、内皮細胞の増殖性の高いinsulin/FN/MA、apo-transferrin/FN/MAを化学固定したePTFEの有効性が示唆された。
|