研究概要 |
1. ブタからイヌへの凍結保存異種気管移植 ブタ気管を採取し-80℃で1〜4週間凍結保存した後、摘脾した雑種成犬に同所性に異種移植し移植片の生着状況観察した。ブタ気管は移植後2週目には拒絶反応による線維性肉芽性組織の増殖によって高度の狭窄、閉塞Obliteratyive airway disease(OAD)をきたすことが判った。FK506、DSG、methylpredonisoloneで防止することは出来なかった。また凍結の有無、期間によるOADの程度に差はなかった。しかしstentを移植気管内に留置することによって内腔を保持し、長期生存が可能であった。 2. 移植気管におけるのCD4,CD8,IgMの発現 モルモットからラットへの凍結保存気管の腹腔内異種移植モデルを用いて、移植片の浸潤細胞のCD4,CD8,IgMの発現をmAbを用いて免疫染色し、同系、同種移植片と比較検討した。CD4(+)細胞は同系では全くみられず、同種で60%、異種で100%にみられた。CD8(+)細胞は同系で75%、同種で100%、異種で100%にみられた。IgM(+)細胞は同系では全くみられず、同種で40%、異種で100%にみられ、凍結保存の有無、期間による差はなかった。OADは異種移植で最も高度であり、細胞性免疫のみならず液性免疫の両者が関与していることが判った。 3. 気管異種移植における免疫寛容 ハムスターからF344ラットへの気管・腹腔内移植モデルを作成し、hypoxanthine phosphoribosyl-transferase geneをprimerとしてPCR法を用いてレシピエント末梢血白血球におけるmicrochimerismの発現を観察した。ハムスターに特異的な128bpのbandは生存期間中確認されず、microchimerismは発現しないことが判った。CsA,FK506,DSG,PredinisoloneでOADの発生を防止することはできなかった。
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