研究概要 |
ウィリス動脈輪閉塞症(モヤモヤ病)の家族内発症例を当施設で保有している6家系について,また九州大学脳神経外科学講座より提供を受けた24組の兄弟発生例につき血液白血球からDNA抽出を行い,モヤモヤ病との合併が報告されているneurofibromatosis typeI(von Recklinghausen disease)に注目し,neurofibromatosis typeI遺伝子すなわちNFl遺伝子が存在する第17番染色体について,家系内でのモヤモヤ病発症と17番染色体上の8つのmicrosatellite markerの連鎖を全自動シーケンサー上でのGeneScan analysis softwareにより解析した.この結果,17番染色体D17S939にてTwo point linkage analysisにてLOD score3.11を得て,連鎖の存在が確認された.またAffected Pedigree Member(APM)法においても同maker周辺計4個のmarkerについてp value<10-5を得た.1カ月以内に欧文誌上に発表すべく論文を投稿準備中である.さらに今後の予定としては,この領域から候補遺伝子を同定して,変異,発現の異常の有無を検討する. 一方1家系は特殊な家系であり,モヤモヤ病発症と片頭痛発作が連鎖して発現しており,17番染色体には連鎖がいずれのmarkerでも認められず,第19染色体短腕centromere付近19p13にある家族性片麻痺性片頭痛とCADASILの遺伝子lociの近傍のmarkerに連鎖が認められた.このことから我々は家族性モヤモヤ病には17qに連鎖するtypeIと片頭痛を伴い19pに連鎖するtypeIIの少なくとも2型があるのではないかと推定している(投稿準備中).
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