研究概要 |
脊髄空洞症は以前は稀で治療困難な疾患とみなされていたが、近年画像診断の進歩と顕微鏡下の手術の発達により、この疾患が稀でなくしかも外科治療の対象となることが分かってきている。本研究では基礎的研究として、1)ラットを用いたChiari奇形に伴う脊髄空洞症の開発を行う、2)ラットの脊髄に発生した空洞の周囲の組織の組織学的検討、3)高磁場MRIの拡散画像を利用したMR axonographyにより、空洞周囲の神経伝道路の障害の有無を明らかにする。以上の結果より、Chiari奇形に伴う空洞症発生のメカニズムおよび空洞と脊髄神経症状の関係を明らかにすることを目的とした。 Wister系ラットを用いPentobarbitalによる腹腔麻酔下に、後頭骨の削除を行い、硬膜外にシリコン製スーパーセレクテブバルーンカテーテル(径4×7mm)を小脳扁桃を圧迫する硬膜下に挿入する。一週間後にヨード造影剤0.6mlをカテーテルに注入しChiari奇形での脊髄空洞症の下垂と類似した状態とした。4,8,12週間後にラットを屠殺し、脊髄を取りだし、髄内の空洞の分布および空洞の周囲の組織を検討した。実験の上でバルーンが当初deflateし、様々な工夫の上、体積の保持ができるようになった。現在、バルーンを植え込んだラットを経過観察中である。3ヵ月、6ヵ月に屠殺する予定である。
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