研究概要 |
振戦を客観的に測定しようとする試みは、光学系、ストレンゲージ、加速度測定機(accrerometer)などを使用して、現在までに様々なものが試みられたが、これらの方法は、主に一方向の直線成分のみしか測定出来ないため、実際の振戦の様に、三次元的な、しかも回転要素も加わるものには対応しきれず、他方、測定に煩雑な手順を必要としたために、実際の臨床場面で使用されることは少なかった。本研究において、我々は、回転要素をも含めた振戦運動を6軸(X,Y,Zの三次元直線運動,及びazimuth,elevation,rollの3次元回転運動)同時に、簡便にかつ十分な精度で解析し得る装置の開発を行った。平成8年度にデータの解析法の開発および改善を行い、平成9年度に解析結果の表示法の改善および正常値の決定を行った。開発された振戦解析装置は、3 space isotrack及びパーソナル・コンピューターを使用し、16秒間で512点のサンプル価採取を行い、上記6軸の振戦運動の振幅、および角度変化を検出するもので、プログラム言語の変更、DOSファイルへのコンパイルなどによって、機器立ち上げ時間、解析、表示時間は、当初の1/20となり、一般臨床家にとって、十分使用に耐えうる速さとなった。また、フィルタを使用することにより、螺旋描画時の振戦をも検出できるものとなった。平成9年度には、振戦解析装置による解析結果にフーリエ解析を加え、さらに振戦のベクトル表示を試みた。正常値は、directional square mean;0.0531【plus-minus】0.0539cm,rotational square mean;0.1930【plus-minus】0.2027度であった。これにより、パーキンソン氏病の淡蒼球手術効果の解析が行われ、手術により、振戦が統計的に有意に改善するものの、正常値には到らないことが明らと
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