研究概要 |
1.ヒト疑似環境モデルの作製 SCIDマウスの腹腔内にヒト末梢血より分離した単核細胞を注入し,モノクローナル抗体を用いてSCIDマウス末梢血におけるヒト由来単核細胞の検出を行ったが,約3週間までは存在が認められるが,それ以降の検出は不安定であった.ヒトIL-2を同時投与し,NK活性,T細胞活性を維持することにより,ヒト単核細胞の寿命は延長した.上記実験系では,早期にSCIDマウスが死亡してしまう例も多く,1L-2以外のサイトカインを用いた実験系の確立も必要と考えられた. 2.β-IFN長期投与患者のlL-12発現の有無 当科入院加療している悪性神経膠腫患者,あるいは神経膠芽腫患者に対し,8週間β-IFN300万単位を隔日投与し,その経過中にNK活性,LAK活性,抗IL-12抗体を用いて血中IL-12の発現などを測定した.NK活性,LAK活性,IL-12発現すべて有意な上昇を認めなかった. 3.IL-12cDNA(p35,p40)の悪性グリオーマ細胞の導入 IL-12の活性型を形成するp35,p40subunitの悪性グリオーマ細胞へのdoubletransfectionはうまくいかなかった.活性型IL-12を用いてのin vitroの実験系では,ヒト末梢血単核細胞をeffector細胞とすると,培養悪性グリオーマ細胞をtargetとし,有意な抗腫瘍活性を認めた.しかし,臨床応用を目的とした基礎実験であり,ex vivoの実験系の確立が重要であり,IL-12遺伝子の導入方法を今後も検討していく.
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