研究概要 |
1.家兎半腱様筋腱の引っ張り強度およびtangent modulusはそれぞれ60.9±1.5MPaおよび527.3±28.5MPaであり,家兎膝蓋腱の引っ張り強度のそれらはそれぞれ54.8±1.7MPaおよび929.9±50.9MPaであった.引っ張り強度には両腱間に有意差を認めなかったが,tangent modulusでは膝蓋腱が有意に高値を示した. 2.In situ凍結処理は半腱様筋および膝蓋腱の断面積を増加させたが,対照に対する増加量は半腱様筋腱が膝蓋腱より有意に大きかった.また同処理は引っ張り強度およびtangent modulusを減少させたが,対照に対する減少量は3および6週で半腱様筋腱が膝蓋腱群よりも有意に低く,12および24週では逆に有意に高かった。 3.これらの基礎的データを踏まえて,本研究は凍結処理家兎半腱様筋腱および凍結処理家兎膝蓋腱の力学的特性および微細構造に与える除負荷の効果の差を明らかにした.凍結処理家兎半腱様筋腱に対して,除負荷は断面積を2週で227%と増加させ,引っ張り強度(対照値は平均75.0MPa)を3週で29.9MPa,6週で17.8MPaと低下させ,Tangent modulus(対照値は平均710.8MPaを3週で425.9MPa,6週で278.1MPaと低下させた.一方,凍結処理膝蓋腱に対して,除負荷は断面積を2週で167%,3週で194%と増加させ,引っ張り強度(対照値は平均59.5MPaを3週で14.2MPa,6週で9.8MPaと低下させ,Tangent modulus(対照値は平均1226MPa)を3週で159MPa,6週で185MPaと低下させた.両腱を比較すると,断面積に関しては,いずれの時期においても半腱様筋腱群が膝蓋腱群より有意の高値を示した.tangent modulusおよび引っ張り強度に関しては,後者の6週を除くいずれの時期においても半腱様筋腱群が膝蓋腱群より有意の高値を示した.
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