研究概要 |
1, 心筋梗塞患者のリハビリテーション 心筋梗塞患者のリハビリテーションにおいては、ライフスタイルの変更が再発予防に重要である。回復期に集中的な患者教育を行うことにより、運動習慣を獲得させ生活様式を変更させること可能であった。また、6カ月後の運動耐容能、血中脂質も改善し、患者のQOL(quality of life)も改善することから、短期集中型患者教育の有効性が示された。心拍変動について検討した結果では、運動療法を継続した群で心拍応答の速応性に改善を認めたことから、運動療法を指示通り継続しているかどうかの判定に、心拍変動を利用可能である。 2, 脳卒中患者のリハビリテーション 脳卒中急性期患者多数例における心臓超音波検査所見では、異常所見として最も高頻度に認められたのは左室壁肥厚で、大動脈弁石灰化、心房細動、大動脈弁閉鎖不全、僧帽弁輪石灰化などが高率であった。脳梗塞患者の再発例では、高血圧性左室壁肥厚、心房細動(特に左房拡張を伴うもの)、大動脈弁石灰化などが高頻度に認められ、これらの進展に関わる高血圧、高脂血症、糖尿病等の管理の重要性が示唆された。リハビリテーション前後の心拍変動検討成績では、リハビリテーション後の安静時心拍数の減少は副交感神経系の相対的機能亢進に起因し、立位負荷時の心拍数増加軽減は交感神経活動の抑制に起因する。また心拍応答の速応性にも改善を認めた。基本的にこのような変化は、心筋梗塞患者と同様であった。 3, 重複障害患者におけるリハビリテーション これまでの成績を総合すると、重複障害患者における運動強度として各種障害が進行しない場合には、嫌気性代謝閾値レベル程度の強度が循環応答性などの改善効果等から、至適運動強度と予想される成績であった。各障害の指標となる数値が悪化する場合は、症例に応じた変更が必要である。
|