研究課題/領域番号 |
08671645
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
整形外科学
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
松井 寿夫 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (20173784)
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研究分担者 |
辻 陽雄 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (90009449)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1997
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研究課題ステータス |
完了 (1997年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
1997年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
1996年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 腰椎 / 馬尾 / 神経根 / 神経変性 / Anti-inflammatory drugs |
研究概要 |
1.知覚機能評価においてL5-6椎弓切除後異物付加群では術後4週において、熱刺激に対する逃避反応の潜時が延長し始め、術後9週でほぼプラトーに達した。L5-6椎弓切除群では術後4週から6週において一過性に潜時が短縮したが、術後7週以降、わずかな潜時の延長を認めた。sham operation群では潜時の術前測定値との差は1秒以内であった。また各群間を比較すると、L5-6椎弓切除後異物付加群ではsham operation群、L5-6椎弓切除群と比べ術後4週以降、明らかに潜時が延長した。組織学的評価では癒着した馬尾における神経変性が術後3週から認められており、知覚機能の低下と馬尾癒着後の神経変性との関連が考察された。運動機能・膀胱機能評価においては各群間に差はなく、経時的にも大きな変化は認められなかった。 2.馬尾集合癒着について術後24時間の時点で対照群と2つの予防処置群の比較を行うと、インドメタシン(IND)投与群、メチルプレドニゾロン(MP)投与群ともに馬尾接着に対する抑制効果が明らかであった。術後3週の結果でも同様に両群で有意な抑制が認められた。術後6週においては馬尾癒着の程度は対照群と有意差はないものの、MP投与群では軽度となる傾向があった。馬尾癒着によって起こる神経変性所見は術後24時間の1例を除き全てが術後3週および6週に認められた。各群の神経変性の発生頻度を見ると、対照群では15匹中5匹33%であるのに対し、IND投与群では2匹13%、MP投与群では全く認められず、コントロールに比べ神経変性の抑制が明らかであった。馬尾血管透過性の変化について検討すると、術後24時間において2つの予防処置群共に対照群と比べEBA漏出の抑制が明らかであった。その他の時間での有意差は、認められなかった。以上のように、抗炎症薬はラット椎弓切除術後24時間の馬尾の血管透過性亢進と馬尾接着を明らかに抑制し、引き続き起こる馬尾癒着と神経変性を軽減させた。本研究の結果から術後早期の抗炎症薬の投与は馬尾癒着および癒着性くも膜炎初期病態を抑制する可能性があると判断された。 3.椎弓切除後カオリン付加群では線溶系機能の低下するものが一部に認められた。組織学的な検討では、対照および2つの治療群の間に馬尾癒着の程度に有意差は見られなかったが、線溶系抑制物質投与群では高度の馬尾癒着を来たすものがあり今後、個体数を増やして検討する予定である。
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