研究概要 |
(研究方法)手関節の接触応力分布を測定する際の、感圧紙やタクタイルセンサーの精度の問題や、測定方法、個体差に加え、感圧紙とタクタイルセンサー両者の結果の相関とそれぞれの機器の信頼性を検討した。さらに、コンピューターシミュレーションのモデル作成の基礎となる画像処理法を完成させた。屍体標本を用いた手関節の接触応力分布を測定する実験を、タクタイルセンサーシステム(ニッタ社製I-SCAN)および感圧フィルム(富士フィルム社製超低圧用プレスケール)を用いて行った。その結果は有限要素法を用いたシミュレーションと比較し、コンピューターモデルの信頼性を検討した。本研究の最終目標であるKienbock病への応用を、セラミックインプラント置換術の手関節応力と接触圧分布により有効性を検討した。それについてはKienbock病に対する、六脚体のセラミックコアおよび月状骨形状のセラミックインプラントを開発し、置換術における手関節応力と接触圧分布の解析を行った。正常手関節、月状骨全摘出、腱球置換、セラミックコア入腱球置換、腱被覆セラミックインプラント置換の5モデルを設定し、応力分布の解析、接触圧分布の解析、接触圧測定の3方法で実験した。応力分布の解析は2次元有限要素法モデルを用いてコンピューターシミュレーションを行った。荷重負荷実験は解剖用屍体5体5手を用いて荷重変換器に接続し手関節部に力を加えた。手関節における接触圧分布の解析は感圧紙を使用し、NIHイメージにて画像処理した。同様に感圧センサーを使用し最大圧を計算した。 (研究結果および考察)2次元有限要素法モデル、タクタイルセンサーシステムおよび感圧フィルムのいずれにおいても腱被覆セラミックインプラント置換において正常手関節に近い応力の分散が認められた。解析の結果、腱被覆セラミックインプラント置換は腱球置換,セラミックコア入鍵球に比べ,より正常手関節に近い圧分布を示し、手根部の短縮防止が期待できる。
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